
ボク達は臆病なんだ…。
ハムスター飼育歴8年以上の経験者が教えます。
「ハムスターは人間に懐くの?」「どうしたら噛まれなくなる?」
ちょこまかと動く小さなハムスターですが、手乗りになってくれたり、名前を呼んだら寄ってきてくれたり…と期待する飼い主さんは多いでしょう。
実は、ハムスターにとっての「懐く」とは、「この人は安全だ」と認識すること。その認識を間違えると、恐怖心から噛み癖がついてしまうこともあります。
この記事では、ハムスターが飼い主さんに心を開き、安心してくれるまでのプロセスを、具体的な3つのステップに分けて解説します。
噛まれた時の正しい対処法や、甘噛みと本気の噛みつきを見分けるポイントも紹介。焦らず、小さな家族との確かな信頼関係を築きましょう。
記事内の随所に、経験者だからこそ知る実践的なポイントも載せています。
ハムスターとの信頼関係を築く「3ステップ」と慣らし方
ハムスターとの信頼関係を築けるように「懐く」定義から「噛む理由」、慣らすための「実践」までをまとめました。
1. ハムスターの「懐く」定義と限界を知る
犬や猫のように積極的に甘えてくることはありませんが、ハムスターも飼い主を認識し、安心感を持つことはできます。
「懐く」とは「慣れる」こと
ハムスターにとっての「懐く」とは、「飼い主=敵ではない、安全な存在」と認識することです。具体的には、次の行動が見られるようになります。
- ケージの掃除や餌替えでパニックにならなくなる
- 手から直接おやつを食べてくれる
- 自ら手に乗ってきたり、手の上で寝たりする
ハムスターが噛む主な理由
噛みつき(攻撃)は、基本的に恐怖や不安からくる自己防衛です。
噛みつきの理由 | 対処法 |
恐怖・パニック | 昼間に寝ているところを無理に起こさない。触る前に必ず声をかける。 |
手の匂い | 手に餌や他のハムスターの匂いが付いていると、餌と間違えたり、警戒したりします。触る前には必ず手を洗いましょう。 |
縄張り意識 | ケージの中に手を入れる行為を、自分の縄張りへの侵入と捉えている場合があります。 |
【緊急時の対応と噛み癖の防止】
- 噛まれた時の対処:
- ハムスターに噛まれた場合は、すぐに流水で洗い流し消毒をしてください。
- ハムスターも菌を持っており、アナフィラキシーショックが起こる場合も稀にあります。
- アレルギー反応が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 噛み癖の防止:
- 噛まれた時に急いで手を引いてしまうと、「噛んだら離してくれる」と覚えてしまい噛み癖がつく場合があります。
- 焦らず、噛まれた指をハムスターの口の中に少し押し込むか、ハムスター自身を少し触るなどして、びっくりした拍子に離してもらいましょう。
ハムスターには、本気の噛みつきではなく、飼い主に甘えていたり、何かを要求している時にする「甘噛み」もあります。
「甘噛み」されたら、お腹が空いていないか、回し車で遊びたがっていないかなど、注意深く観察してみましょう。
2. 【実践】心を開くための3ステップ・トレーニング
ハムスターの警戒心を解き、安心させるための段階的なステップを紹介します。焦りは厳禁です。必ずステップをクリアしてから次に進みましょう。
Step 1:環境に慣れさせる「放置期間」(お迎え直後)
お迎えした日から3日~1週間は、最低限の餌と水の交換、トイレ掃除以外は触らず、そっとしておきます。
- ハムスターは環境の変化に非常にストレスを感じる動物です。新しいケージと家の音、匂いに慣れさせることが最優先です。
- ケージに近づくときは、優しく小さな声で名前を呼ぶなど、存在を知らせて安心させましょう。
この期間に焦ってしまうと、「人間は怖いもの」だという意識が残ってしまい、慣れるのにより時間がかかってしまいます。我慢してそっとしておきましょう。
ハムスターは慣れると、人間の声や足音を「安全な合図」として認識するようになります。早いうちから優しく声をかけ、音で危険がないことを覚えてもらいましょう。
Step 2:匂いを認識させる「手渡し&匂い付け期間」
1週間が経過したら、飼い主の匂いに慣れてもらう段階に移ります。
- 手の匂い付け:
- 自分の手をケージの外側や回し車の上など、目立つ場所に数分間置き、匂いを覚えてもらいます。
- 手からおやつ:
- 最終的には手の上でおやつを食べてほしいですが、最初はケージの床に手を置き、その手のそばにおやつを置くことから始めましょう。
- 徐々に手のひらに近づけていき、手を怖がらないようにします。
おやつをあげる時は、「指先 ⇒ 指の関節 ⇒ 手のひら」という順番に場所を移動させて慣れさせていくと、「手の匂い=おやつがもらえる」となり、手が怖くなくなっていきます。
Step 3:体に触れる「コミュニケーション期間」
手からおやつを食べ、警戒しないことが確認できたら、体に優しく触れていきます。
- 指で優しく撫でる:
- 頬袋を触られるのは嫌がる子が多いので、最初は背中の後ろ側から優しく撫でてみましょう。
- 手のひらに誘導:
- おやつを使い、自分から手のひらに乗ってくるように誘導します。
- 持ち上げる際は、底を支えるようにそっと行いましょう。
- 持ち上げないルール:
- 慣れないうちは、ケージの外に出さず、低い位置で接することを徹底してください。
- 高い場所はハムスターにとって恐怖です。
ハムスターを持ち上げる際は必ず、必ず両手で下から掬うように持ち上げてください。
慣れていてもハムスターは急に驚く生き物です。手から落ちないよう、必ず低い位置で接することを徹底しましょう。
3. コミュニケーションを深める日々の工夫
信頼関係は一夜にして築けるものではありません。毎日のルーティンで愛情を伝えましょう。
1. お世話の時間を決める
ハムスターは夜行性です。夕方~夜の活動時間に合わせて餌やりや触れ合いを行うと、ストレスが少なく、スムーズに慣れてくれます。
ハムスターは時間通りに活動しますので、毎日同じ時間にお世話できるように時間を決めておきましょう。
2. 回し車やトンネルで運動不足解消
野生では一晩に数キロも走るため、運動不足は深刻なストレスになります。
- トンネルの活用:
- ハムスターは本来、地中で暮らす生き物なので、トンネル内の移動は慣れたものです。
- ケージから別荘(サブケージ)へトンネルを伸ばしておくと、好きな時に移動できて運動不足解消にもなります。
- 回し車:
- ストレス解消に最も重要なアイテムです。静音性の高いものを選び、存分に走らせてあげましょう。
3. 部屋んぽは慎重に
ケージの外に出して遊ばせる「部屋んぽ」は、ハムスターにとって大きな楽しみですが、脱走や誤食のリスクがあります。専用のサークルなども使い、決して目を離さないようにしましょう。
- 環境整備:
- ハムスターは何にでも興味を持ち齧りますので、コードやコンセント、食べてはいけないものが周りにないか確認し、狭い隙間も家具で防ぐなど、安全に遊べるよう徹底的に注意しましょう。
- 習慣化:
- ハムスターが外に出たがらないようであれば無理をする必要はありませんが、一度「部屋んぽ」をさせるとそこが縄張りとなるため、毎日同じ時間にさせてあげましょう。
- 時間:
- あまり長すぎるとハムスターも疲れてしまうので、30分から1時間程度でケージに帰らせてあげましょう。
特にゴールデンハムスターは縄張り範囲が広く、「部屋んぽ」は必須と言ってもいいでしょう。
ケージの設置と同時に「部屋んぽ」できるスペースも確保しておくといいでしょう。
まとめ
ハムスターが「懐いた」と感じられるようになるまでには、その子の性格によって数週間から数ヶ月かかることもあります。
大切なのは、焦らず、ハムスターのペースに合わせて接することです。愛情と忍耐をもって接し続ければ、きっとあなたとの安心できる関係を築いてくれるはずです。
▽より詳しい飼育方法や、お迎えに必要な道具については、こちらの記事も参考にしてください。